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 料理の手順でも話すように言われた。言葉の意味をわかっていないような無機質さに気が抜けて、面倒になって睦月の背中を軽く叩いた。 「まあ、そのうち考えればいいだろ」 「うん……」  眠くなってきたのか、腕の中で、睦月がゆっくり息を吐いた。 「なんか、そうされると、落ち着く……」  子供をあやしているような気分になった。  こんなに幼い奴とセックスなんてできる気がしない。正直、この距離にいても欲情なんてまったくしない。 「おやすみ」  半分寝ている声で睦月が言う。 「おやすみ」  それに答えて、友宏も目を閉じた。  睦月の体は小さくて、腕の中に収まって安心だった。  翌朝、目を覚ますと睦月はもうベッドにいなかった。大抵友宏より遅く起きるのに珍しい。台所から電子レンジを使う音が聞こえる。  ぼんやりしたまま台所に行くと、睦月の頼りない後ろ姿が見えた。肩にずるずるした薄いカーディガンを羽織っている。真夏なのに睦月はいつもカーディガンが欠かせない。  ちっぽけな背中を見て、急に昨日のことを思い出して気恥ずかしくなった。いや、予想はしていた。ああいうのは翌日になってから気まずくなるものだ。 「おはよ」  なぜかわからないが少し覚悟して、近寄って言うと、マグカップを持った睦月が顔を上げた。寝起きの顔はいつも通りの無表情だ。 「おはよ。友宏も飲む?」     
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