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「ん。おれ、たぶんずっと家にいると思う。家事とかそれなりにできるほうだから、友宏は仕事がんばって」 「サンキュ」  話しながら光司の部屋に戻って一度脱いだコートとマフラーを着た。リュックは重いから財布とスマホだけ持っていく。もう一度薄い上着を羽織った友宏は、マフラーぐるぐる巻きの睦月を見て笑った。 「真冬かよ。もう三月だぞ」  笑った顔が今まで見たどんな顔より無防備で、友宏ってこんな顔で笑うんだ、とちょっと驚いた。  友宏が普通に笑うのを、再会してから初めて見た。  近所のドラッグストアで歯ブラシなどの細かいものを揃え、ちょっと歩いたところのスーパーで適当に食材を買った。ついでに牛丼屋でご飯を食べた。睦月はもともと並で充分だし、友宏も「なんか思ったより食えなさそう」と並にした。いつもは大盛りらしい。 「ご飯食べてなかったの」 「うん。栄養ゼリーとかは飲んでたけど」  牛丼に七味をふりかけながら友宏は言う。 「舞台決まったら休みなくなるし、筋トレもしなきゃなんないし、体は作っておかないと」 「俳優って大変なんだね」 「お前だって浪人生なんだから勉強とかすんだろ」     
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