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「行く行く行くマジありがとうしかも大楽じゃんマジありがとう!」  マミは睦月が思っていた以上に舞台オタクで俳優オタクで、席番号をみて良席すぎるとひとしきり騒いだ。 「だってこれ主演の人めっちゃ売れてるし、狭間くん代役だけど準主役で出るじゃん、そんなチケットいまなかなか取れないよ。私狭間くんのファンクラブ抽選も全落ちしたもん」 「え、マミ、ファンクラブなんて入ってたの」 「去年出来たばっかりだけど出来た瞬間に入った。会員番号九番なの! 一桁! 自慢したい!」  それからコーヒーを飲みながらマミは一時間近く話し続けて、睦月は友宏が舞台界隈では割と有名な人であることに驚いた。 「狭間くん、一昨年くらいから急に出てきた人でね、初舞台私たまたま初日と楽日見てたんだけどすごくてさ。初日ちょっと危なっかしい感じだったのに十三公演のうちにすんごい化けて、初日と千秋楽じゃ別人みたいで、なんかもう大好きになっちゃった」 「そんなにすごい俳優なの?」 「いま売り出し中って感じ。若手の中ではトップの方じゃないかなあ。去年のネクストブレイクに入ってるし……ほらこの記事」     
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