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 睦月が可哀想なのでとりあえず横に転がった。変なところに体重がかかったらしく、睦月がぐぇ、とか言った。 「……起きれる? おれじゃたぶん友宏ベッドまで運べないよ」 「起きる……やっべぇ足攣りそう」  七センチヒールで七日間十三公演を続けたダメージがいまになって主張し始めた。三時間半のダンスミュージカルで、幕間に休憩を挟んだとはいえ友宏はほぼ出ずっぱりで着替えもめちゃくちゃあったから、本当に本当にハードだった。 「そういうのってどうしたら治るの」  転がっている友宏の横で起き上がった睦月が首を傾げる。 「風呂入ってストレッチして……めんどくせぇ」 「お風呂、お湯抜いてないし、まだあったかいはずだけど」 「いや、劇場でシャワー浴びてきた……ていうかいま湯船入ったら死ぬかも」 「ぼろぼろだねえ」  睦月が真面目に言うのでちょっと笑ってしまった。一つの舞台でこんなに疲れきるのも久しぶりだ。  睦月がいなかったら、今日までを乗り切れなかった気がした。  いつまでも玄関に転がっていても仕方ないので、観念して起き上がった。睦月は眠そうな顔で屈み込んでいる。そういえば睦月はいつも眠そうな顔だ。     
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