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「まあ……うちお金なかったし、別にやりたいことあったわけじゃないし。おばさんが大学行けってしつこいからじゃあ行こうかなって」
「今はどうなのよ。大学行きたいわけ?」
「はあ……正直よくわかんないんですよね。なんか……割とそれどころじゃなかったっていうか」
光司が死んでから四ヶ月近く経った。葬儀は入試の頃だったはずなのに気がつけばもう梅雨だ。その間に両親は同居し始めて、睦月は友宏と同じ家に住み、生活はがらりと変わってしまった。
「まあ、特に目的ないならランク高いとこ行っておいたほうがいいとは思うけどな。それだけ周りの奴の質も違うし。予備校は行ってないって?」
「お金もったいないし。ただその分対策とかわかんないからどうしたらいいかなって」
「お前の頭ならその辺は大丈夫だろ。そういう時は模試何個か受けてみるといいぞ。勉強してんの?」
「家事の合間とかに」
「家事?」
「いま色々あって中学の時の友達と同居してて、そいつ仕事めっちゃ忙しいんで、暇なおれが洗濯とか掃除とか全部やってる感じ」
「へえ……なんか、お前も大変だなぁ。生活大丈夫なのか?」
「今のほうが楽かも。父親いるから母親の心配しなくていいし、高校の奨学金は父親が全部一括で払ってくれたし、おれバイトとかしてないから半分ニートみたいなもんだし」
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