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「そういえばあいつ変なものばっかり持ってたよな」  傘を差しかけてくれながら友宏は睦月の格好を見て、腑に落ちないような顔をする。 「お前そんな服持ってたんだ」 「光司に買われた。あんまり外で会わないから服とか見ないよね」 「ああ、それでか」  あまり服にこだわりがないので上から順にあるものを着てきただけなのだが、友宏にはなにかわかったようだ。睦月にしてみればちょっと変な柄のシャツとやけに細いパンツだ。 「いや、光司の好きなブランドだなって」  それきり友宏は黙ってしまったので、睦月も黙った。モデルをしていたから当たり前なのかもしれないけれど、光司はお洒落だった。会うたびにこんなの誰に似合うんだ、みたいな柄や形の服を着ていたし、それが嫌味なく似合っていた。駅やコンビニで光司は一人だけ浮いていた。光司の周りだけ映画か何かのようだった。  雨がスニーカーに染みて冷たい。 「俺、二週間くらい暇になった。週一の仕事とか単発の取材とかはあるけど」  突然友宏が言った。 「次の稽古入りまで空いちゃって」 「いいんじゃん?」  素直な気持ちが出た。以前から思っていたけれど、友宏は忙しすぎる。 「……そろそろ、光司のものとか整理しないとな」     
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