プロローグ

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「睦美、真相がわかったの?」  と、恵子が訊ねる。 「親父を殺したのは誰なんだ?」 「その前に、事件の状況を説明しましょう」  そう言って、睦美は事件の概要を説明する。  今回の事件は、本来なら、健介が殺害犯を殺すという計画だった。だが、犯人に抵抗され、転んだ拍子に後頭部を机に強打して絶命してしまった。  睦美はそこまで説明し、一呼吸入れる。 「殺意がないとはいえ、健介さんを死なせてしまったのは……」  睦美は犯人を指差した。 「恵子、犯人はあなたよ!」 「な、私が? 待って。リビングから書斎へ行って父を殺すとなると、五分じゃ無理よ。私、リビングを出て五分で戻って来たじゃない」 「それができるのよ。書斎から下がっている非難梯子を使えばね!」 「な!?」  戸惑う恵子。 「でもね、非難梯子を上げずにそのまま来た道を戻ったのは致命的なミスよ」 「上げ方がわからなかったのよ」  警察官が恵子を警視庁に同行させる。 「いやー、お手柄だよ氷上くん!」  金田一が睦美の背中をポンと叩く。 「痛!」 「また事件があれば君に頼もうかな」 「難事件があれば、この名探偵、氷上 睦美が解決しましょう!」
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