『吸血機殺し』

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 ──『彼』を見るものがいる。  ──深淵の闇の奥、『彼』を見るものがいる。  紅き瞳が、ぼんやりと浮かび、ワイングラスをそっと持ち上げる。 「『彼』が起動しましたか」  中身はワインではなく、鮮血。  それを、優雅に飲み干す者。 「まだ……まだ足りません……」  その者は血を求める者。 「血戦の刻は、すぐそこに……血を。血を。血を」  深きにて、『彼女』は静かに、蠢く。
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