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舞う粉塵の中、セツナに庇われながら、るにせは薄目を開けながら叫ぶ。
「な、なにが起きたというのだ!?」
「この爆発……! もしや」
セツナがそれに気付いたときであった。
るにせとセツナは何者かに抱えられた。
「うえ?」
「きゃっ」
『華原るにせ氏、セツナ氏両名保護確認! 撤退します!』
フルフェイスの黒づくめの男が、るにせたちを運ぶ。
「な、なんだ!?」
『『鴉』の者です! 援軍に参りました! 華原博士!』
「おお、それはありがたい……いや待て! ではヤツは──」
『ハッ! 桜雨ティラナが相手取っています! すぐに終わることでしょう!』
「いかん──!」
るにせが連れ去られた後。煙が晴れたその場所に、シュヴァルツはどっしりと立っていた。
その顔面に、鉄の拳を受けながら。
「おお、いてえいてえ」
もっとも、全く持って動じていない。
爆破をその身に受けながら、動くことなし。
そして、それを浴びせたのはフルフェイスのパワードスーツであった。
紅蓮に染まる機体が確かな殺意でもって、シュヴァルツと対峙する。
『ハッ、アタシの一撃で沈まなかったエモノは久々だ……!』
「随分と雑魚を相手して来たみてえだな? ええ、オイ」
『吸血機風情がなめてんじゃねえぞ!』
背中に生えた、鳥の羽根の骨格が如きスラスターが火を噴く。
顔に入った拳とは反対の腕の肘が爆ぜる。
生むは音速を越える一撃。
『砕け散りなあっ! 吸血機!』
「てめえがなあ! 人間よぉ!」
拳と拳が真正面からぶつかり合い、大爆発を起こす。
それは指向性の爆発だった。紅蓮のパワードスーツにはほんの少しの風。
シュヴァルツを襲うは掛け値なしの大爆発。
爆炎の中、シュヴァルツは口角をつりあげる。
「アルカナナンバー『Ⅷ』──『力』……! 華原のババア謹製の兵器か」
『ああ、そうさ……! てめえをぶち殺す、兵器だ! だから……たったとおっちね吸血機ィ!』
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