『吸血機殺し』

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「それで? お前はどうするつもりだ? これ以上望まなければ俺は再度封印される。これ以上を望むならば、俺はお前に使われる」 「……まず、汝のことを吾は知らぬ」 「ほお、あのバカはお前に何の説明もなく制御キーを譲ったのか」 「華原 都を、バカ呼ばわりですか……」  稀代の天才、華原 都。  現人類の数世紀先の頭脳を持つ女として広く知られる人物である。  そして、るにせの祖母だ。 「あれはとんでもない愚者だぞぉ? 『俺』のようなものを作り、吸血機を作り。ヤツは結果を出す。だが影響を考えない。人間として致命的なエラーを抱えたバグ。麗しき第三次世界大戦もアイツの発明が発端だ。孫娘なら、知ってるんだろぉが」 「おばあ様を悪く言うな! 吾が許さんぞ!」 「そいつは命令(コマンド)か?」 「そうだ!」 「めんどくせえヤツだな。よっぽどアレにかわいがられたか」  男はふう、と溜息を吐いた。 「いやはや、この俺様が落ちるところまで落ちたもんだ」  面倒くさい。そんな考えが見え見えである。 「……それで、汝は何者だ?」 「対吸血機用決戦生体兵器六六六號。それが俺だ」  どうでもいいとばかりに、男はそう言った。  しかし、その言葉の意味は重い。るにせは苦虫を潰したような顔になる。 「吸血機を喰らう吸血機……目には目を、歯には歯を……おばあ様はなんてものを……!」 「現行最強兵器を(たお)すためにそれ以上の兵器を。わかりやすいだろう?」 「……ッ!」  理には適っている。  だが、それは劇薬であることを、るにせは理解した。 ともすれば世界を左右しかねない危険な兵器が、今目の前にあるのだ。  そして、その制御キーは他でもない、るにせの手にある。 「ぐだぐだ語るのはここまでだ。さっさと決めようじゃあねえか。俺をどうする? 危険だと言って封印するか? 有用だとして使役するか? それとも……野に放つか」 「……3番は論外だな。汝を封印すれば吾は身を守る手段を持たない。誰が味方かすら、わからないご時世だ。選択肢は一つしかないではないか」 「ハッ。戦場に出ればそんなもんだ。三択もあることを感謝しろ」
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