夜空の彼女

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「どんな服買おうかなぁ、セーター?コート?うーん迷うなぁ」 僕の返事など無視するように、彼女は自分の世界に入って行く。僕の声が電波が悪くて聞こえていなかったのか、はたまた聞いた上で特に返事をするほどのものでもないと判断したのか、それを僕は知るよしもなかったし、きっと生涯知り得ることもないのだろう。 だから僕は、彼女を「夜空」に見立てた。 どんなに僕らの間に「関係」があっても、僕にとって、彼女は所詮「他人」であった。そして僕が彼女の価値観や思考を分かるできるはずがない。自分の考えや知識の中で、僕は彼女を「彼女」として捉えたが、それは所詮僕の勝手なイメージに過ぎず、彼女からしてみれば、彼女の中の「彼女」のイメージも、僕の想像など遠く及ばないのである。     
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