Chapter 1

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その翌日も昼前に、管理事務所に寄ろうと思っていたら、携帯に電話が入った。 坂本からだった。 昼飯を一緒に食べようということになって、1階のエントランスで待っていると、原さんも一緒に現れた。 「坂本から、工藤さんとお昼を食べると聞いて、くっついて来ました」 エントランスを一歩外へ出ると、そこは灼熱だった。きっと今年一番の猛暑日になるだろう。 原さんがおいしい店があるからと、連れてこられたのは、鰻屋だった。 ご馳走すると言われ、取りあえず一回遠慮した。いいから、いいから、と更に言われ、では有り難く、と御馳走になった。 「昨日、赤ちゃん生まれたんですよ。女の子でした」 昨日、母体の状態が急変して、緊急手術になったそうだ。山口沙織は未婚で、母子手帳にも父親の名前は無かった。アパートもひとり暮らし。携帯の履歴から、やっと妹と連絡が取れた。ただその妹も、海外にいて、こちらに着くのは今日の夜ということだった。 「なんか、しんみりしちゃたな。ささ、食べて精をつけよう」
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