Chapter 1

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「そういえば、管理会社に防犯カメラ確認してもらったんだ。山口沙織は、最上階で降りて、最上階から乗ったらしい」 ひと呼吸おいて、坂本さんは続けた。 「彼女、エレベーターを降りたとき、大きな花束を抱えてたそうだよ」 花束? ・・花束 花 花の匂い なんの花? 百合 百合の花の匂い? 倒れた山口沙織の白い帽子のつばや、紺色のブラウスには黄色い粉がついていた。 百合は、弔事の花だ。 「坂本さん、ちょっとおれと一緒に来てください」 そのとき坂本さんは、不思議な目をして、おれを見つめ返した。
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