Chapter 1

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通話を切って、坂本さんが側にやってきた。 「維持装置とか、今日、はずすらしい。原さん今日も病院に来てたって。しばらく妹さんに、付き添うみたいだ」 坂本さんが説明するのをおれは聞いていた。 何も言えなかった。 いたたまれなかった。 大粒の雨がポツリときた。 花束を覆うセロファンをパチパチと弾いたと思ったら、急に本降りの雨になった。 急いで屋上階段のドアまで走ったが、ゲリラには勝てない。 息を上げ、びしょ濡れになった坂本さんを盗み見ながら、自分の恋愛スイッチは、とっくに入っていたんだなと知った。 気をつけてたのに・・。 何て日だ、まったく。
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