Chapter 1

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「迷ってる」 ナポリタンを食べる手を止めて、坂本さんは言った。 「病院に戻るつもりですか」 「重すぎるよな。生死に関わる選択したばっかりの人の側にいるのは」 また太陽が顔を出し、窓際に座ったおれの背中が熱くなってきた。 「原さんて、すごいな」 おれの肩越しに、坂本さんは外を見て言った。 「やっぱ・・」 どっち? 「やめとく」 そしてふたたび、ナポリタンを食べ始めた。 会計を済ませて外は出ると、むせ返るほどの暑さだった。坂本さんを家まで送る気満々で、パーキングまで歩いていると、急に坂本さんは立ち止まった。 「ごめん、工藤さん。やっぱ行くわ」 「じゃあおれも行きます」 「工藤さん、おれに付き合うことないから」 「お兄さんぶらないでくださいよ。おれ、平気ですから」 坂本さんが吹き出して笑った。 「そっか。じゃあ行こう」
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