172人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
でも、デートをしても、キスをしても、エッチをしても、佳奈の顔が浮かんでくるのだ。
だから、初めてのことであってもそれほどの喜びもない。
しかもそんな気持ちを抱いていることは、なんとなくばれてしまう。
つきあっている彼女に対して、これほど失礼なことはない。
佳奈の代わりを求めているみたいではないか。
しかも、あの罪悪感はなんだろう。
誰かとつきあっているあいだずっと、罪悪感にさいなまれる。
誰かと付き合っていることを、佳奈にだけは伝えることができない。
ばれないように努力までする。
彼女を部屋に呼ぶときには掃除もしないのに、佳奈を部屋に呼ぶときだけは徹底的に掃除をする。
佳奈はときどき、天気の話と同じくらいの感覚で、彼女はできたかと聞いてくる。
しかも彼女がいるときにこそ聞いてくる。
だからあせってしまう。
佳奈に嘘はつけないから、聞こえなかったふりをしたりごまかしたりしてしまう。
佳奈に隠れて浮気をしているかのようにすら感じていた。
佳奈とは一度もつきあったことがないのに。
あの罪悪感はどこからくるのか?
佳奈に対する罪悪感というよりも、自分の気持ちをいつわる自分に対する罪悪感なのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!