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それでも性欲を抑えることができず、反省してしばらくするとまた誰かとつきあいはじめ、それでも長続きはせずにしばらくすると別れる。
そんなことを無為に繰り返していた。
先月もそうやって別れたところだった。
佳奈が誰かとつきあいはじめたという話をときどき聞いた。
そんな話を聞きたくなくて、詳しくは知らない。
でも、あまり長続きしている様子はなく、佳奈がそのことを悩んでいる様子もなかった。
佳奈が本当に好きなのは、どういうタイプなのだろうか?
佳奈の顔を間近で見下ろしながら、そんなことを考えていた。
暗い部屋の中で、佳奈の寝息だけが聴こえる。
邪魔をしないでそっとしておきたい。
しかし緊張してしまうのは、佳奈が寝ているのは俺の胸の上なのだ。
薄いタオルケットが佳奈の背中をおおっている。
もちろんこんなことははじめてだった。
佳奈にふれてしまったことが、どれだけ前のことか思い出せない。
しかもいつのまにかシャツを脱いでしまったようで、佳奈は俺の裸の胸に右のほおを押しつけて眠っていた。
そのほおの感触が心地よい。
髪の毛が肌にふれていて、くすぐったいような嬉しさがこみあげてくる。
佳奈の頭を抱きしめたいと思うけれど、それよりもこのままでいてほしくて、それを我慢した。
昨日のことを思い出していた。
仕事中に佳奈からメールが届いた。
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