第一章 祐一郎

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それでも性欲を抑えることができず、反省してしばらくするとまた誰かとつきあいはじめ、それでも長続きはせずにしばらくすると別れる。 そんなことを無為に繰り返していた。 先月もそうやって別れたところだった。 佳奈が誰かとつきあいはじめたという話をときどき聞いた。 そんな話を聞きたくなくて、詳しくは知らない。 でも、あまり長続きしている様子はなく、佳奈がそのことを悩んでいる様子もなかった。 佳奈が本当に好きなのは、どういうタイプなのだろうか? 佳奈の顔を間近で見下ろしながら、そんなことを考えていた。 暗い部屋の中で、佳奈の寝息だけが聴こえる。 邪魔をしないでそっとしておきたい。 しかし緊張してしまうのは、佳奈が寝ているのは俺の胸の上なのだ。 薄いタオルケットが佳奈の背中をおおっている。 もちろんこんなことははじめてだった。 佳奈にふれてしまったことが、どれだけ前のことか思い出せない。 しかもいつのまにかシャツを脱いでしまったようで、佳奈は俺の裸の胸に右のほおを押しつけて眠っていた。 そのほおの感触が心地よい。 髪の毛が肌にふれていて、くすぐったいような嬉しさがこみあげてくる。 佳奈の頭を抱きしめたいと思うけれど、それよりもこのままでいてほしくて、それを我慢した。 昨日のことを思い出していた。 仕事中に佳奈からメールが届いた。     
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