第一章 祐一郎

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第一章 祐一郎

これが夢ならさめないでほしいと思った。 目がさめると、こんなところで佳奈が眠っていた。 でも、こんなことは久しぶりだと、ずいぶん昔のことを思い出した。 小学生のころに佳奈の家で一緒に遊んでいて、いつのまにかリビングで眠ってしまったことがあった。 目がさめたときにそこがどこなのか、どうして佳奈が隣で眠っているのか、すぐにはわからず不思議に思ったものだ。 そのことを思い出すことすら久しぶりだった。 あれからずいぶんたったんだなあと思う。 あの頃はぽっちゃりしてかわいらしい感じだった佳奈が、中学生のころにはスラッとして、高校生のころには綺麗になっていった。 女子の成長に男子はついていくことなんてできない。 女子はいつのまにか女性になる。 いつものように佳奈と話しているのに、いつになくどきどきすることが増えたものだ。 友人のうらやましそうな視線に心の中では優越感にひたっていた。 社会人になってから佳奈は目が変わったと思う。 きらきらしていた目が凛とした輝きを放つようになった。 強くかっこよく美しく、そのことがまぶしくて、少し遠い存在に感じることもあった。 それでも佳奈は月に一度くらいは会ってくれた。     
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