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「待って!嘘だよ!忘れてなんかないよ」
バタバタと足音が聞こえたと思ったら腕を掴まれていた。
「え?」
「ごめん、覚えてるとか恥ずかしいかなって思って。そんな悲しい顔させるつもりじゃなかった」
焦ったような彼の顔に、あぁ本当なんだろうなって思う。
「二度目ましてだね」
そう笑う彼の顔にまた胸がトクンと高鳴る。
「この前はありがとうございました」
「いーえ。風邪引かなくてよかったよ」
ふわっとまた笑う彼にあたしは釘付けになる。
この人を見るとあたしはいつもと違った感情に駆られる。
こんなあって間もない人を好きになるなんてそんなはずはないのに。
「謙信?」
近藤さんが不安そうな顔でたっている。
そういえばこの子は彼が好きなんだっけ?
「玲花。帰ろうか」
あたしに笑いかけるのと同じように笑う彼に胸がちくんとなる。
なんなんだろう。あたし絶対おかしい。
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