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さて、美樹ちゃんから私の隣の席を奪い取った憎き「音無君」とやらは…。
まだ来てないようだ。私達は前後に座って彼を待つ。
「音無君こないね。」
「うん…。」結局彼は今日教室に現れなかった。これには他の生徒達も拍子抜けしたようだ。なんせ、学年2位の成績を叩き出しながら、入学式をボイコットしたのだから。
「私達も帰ろうか?」
「ごめん、美樹ちゃん。私ピアノ見たいから。」というのは口実で、正門で裕ちゃんが待っているのだ。うん、お姉ちゃんに感謝しなさいよ。
確かこっちだったよね…。
新館は吹奏楽部や、軽音楽部が使用している。旧館の音楽室に、かつてママが高校生金賞をとったときのピアノが置いてあるのだ。
裕ちゃんの件もあるけど、私はこのピアノが弾きたくて居残りしたのだ。
「ん?ピアノの音?」
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