てるてる坊主に虹がかかる日

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 音の聞こえた先、庭側の障子を少し開けて、暗い廊下に視線を這わせる。と、二十センチくらい先のところに何か小さな物が光って見えた。拾い上げて部屋へ戻って見ると、それは薄水色がかった、一センチくらいの透明な石のような物だった。  親戚の誰かのアクセサリーか何かだろうか、とも思ったが、見るにカットもされていないし、そもそも通夜の日に石のついたアクセサリーを着けてくるとは思えない。  それにさっきの音だ。まるでどこかから落ちてきたような――。  私はどうにもその石が気にかかって、いびつに丸いそれをコロコロと手のひらの上で転がした。  そのとき、石の中で何かが揺蕩うように揺れたような気がして、私ははっと手を止めた。  弱い蛍光灯の光を集めて反射するその石に吸い込まれるようにそっと覗き込むと、石の中で何かが屈折して、だんだんと万華鏡のように像を結んでいった。 「あ……」  思わずぽつりと声がもれる。  そこにあったのはにわかには信じがたい光景。ぼんやりと石が映したその中には、若い頃の父の姿があった。  夢を見ているのかもしれない。思って頬を引っ張ったり瞬きを繰り返してみる。それでも、石の映す父の姿は消えることはなかった。  私は滲む目を強く擦って、急いで石に目を近づけた。     
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