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あたしの青い空
自分が男勝りな性格だってことは十分わかってた。
歳の近い弟と一緒に昔やった遊びは、野球に釣りに缶蹴りにドッチボール。
負けず嫌いで可愛げがなくて、口より先に足がでるような、そんな女。
だから、あいつが、あたしを好きになるはずないんだ。
ボールが青い青い空に向かって飛んで行く。
ボールは本当はあっちを地面だと思ってるんじゃないかってくらい、吸い込まれて行くその白が眩しい。
もしかしたら、太陽を目指してるのかも、なんて思ってしまう。
「っしゃあー! 見たか、安野ぉー!!」
ガッツポーズをしながら、3塁の薄茶けたベースの上で、仁王立ちしてるあいつ。
その間にも投手は黙々とバッターを打ち取って行く。
「スリーアウト! チェンジ!!」
「へ、あれ? 交代?」
「木野! 盗塁のチャンスだったろうがぁー!!」
監督にどやされながら、木野が頭をかく。
失敗、失敗。苦笑い。
つられて、あたしまで失笑。
あいつはへこたれない。
何回でも、空にボールを返す。
4番バッターだから。
空にボールを打ち上げる役目だから。
照れたように、誇らしそうに、鼻の頭をかくあいつ。
いつだって、まっすぐで、ひねくれてるあたしとは大違い。
「しまっていこーぜー!」
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