あたしの青い空

1/12
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

あたしの青い空

自分が男勝りな性格だってことは十分わかってた。 歳の近い弟と一緒に昔やった遊びは、野球に釣りに缶蹴りにドッチボール。 負けず嫌いで可愛げがなくて、口より先に足がでるような、そんな女。 だから、あいつが、あたしを好きになるはずないんだ。 ボールが青い青い空に向かって飛んで行く。 ボールは本当はあっちを地面だと思ってるんじゃないかってくらい、吸い込まれて行くその白が眩しい。 もしかしたら、太陽を目指してるのかも、なんて思ってしまう。 「っしゃあー! 見たか、安野ぉー!!」 ガッツポーズをしながら、3塁の薄茶けたベースの上で、仁王立ちしてるあいつ。 その間にも投手は黙々とバッターを打ち取って行く。 「スリーアウト! チェンジ!!」 「へ、あれ? 交代?」 「木野! 盗塁のチャンスだったろうがぁー!!」 監督にどやされながら、木野が頭をかく。 失敗、失敗。苦笑い。 つられて、あたしまで失笑。 あいつはへこたれない。 何回でも、空にボールを返す。 4番バッターだから。 空にボールを打ち上げる役目だから。 照れたように、誇らしそうに、鼻の頭をかくあいつ。 いつだって、まっすぐで、ひねくれてるあたしとは大違い。 「しまっていこーぜー!」     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!