雨の日の奇跡

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***** ザァー 雨の音。 目が覚めると見たことのない部屋にいた。 頭が痛い。体も怠い。 ここはどこ? 辺りを見回すもどこなのかわからない。 記憶を辿ろうとするも同じことだった。 しばらく呆然としていると、 障子の前で男の人が声をかけてきた。 落ち着いた品のある声だった。 「おはようございます。お目覚めですか?」 「…はい」 誰だろう? 戸惑いながらも答える。 「開けてもよろしいですか?」 「どうぞ」 「失礼します」 その声の主こそ、雨宮倫太郎さんである。 「初めまして。私、雨宮倫太郎と申します。ここの主人です。体調はいかがですか?」 「あっ、私は雨音ゆかりと申します。少し頭が痛いのと怠い感じがします。あの、ここは一体…私はなぜここにいるんでしょうか?」 「覚えていないのですか?昨夜雨が降る中、この屋敷の前で倒れていたんですよ。」 雨の中、倒れていた? 「そうだったんですね。ご迷惑をおかけしてすみません。」 でも、私の知る限り、こんなにすごいお屋敷は知らないし見たこともない。 どうやってここへ来たのだろう? 「食欲はありますか?朝ごはんの用意ができています」 「でも、助けていただいて、休ませてもらって、ご飯もだなんて申し訳ないです。」 「当たり前のことをしたまでです。人が倒れているのにほっとけないでしょう?倒れるなんて余程のことです。体調も優れないんですから、もっと甘えていいんですよ?」 見ず知らずの私を助けてくれて、こんな素敵な言葉をかけてくれて、涙が出そうになった。 見知らぬ場所、見知らぬ家で訳がわからず心細かったのだ。 「…ありがとうございます」 私は雨宮さんについて、食事をとる部屋へと向かった。
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