アジサイの花が美しく咲いた頃わたしは不思議な出来事を体験する

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アジサイの花が美しく咲いた頃わたしは不思議な出来事を体験する

「まぁまぁ~!」  こっちこっちぃ~♪と笑顔を向けてくるいとおしいわが子に、わたしは静かに歩み寄る。  久しぶりに実家に来たからか、あの頃と変わっていない我が家が懐かしくもある。  この場所でいろいろ悩んで傷ついて苦しんだ思い出があるなぁとふと思い出していた時だった。 「みてみてぇ~!きれいなお花~」 「それはね、アジサイって言うのよ」  落ちないようにね、と娘の小さな手を握りながら、わたしはそっと水面をのぞいてみる。  この様子も変わらない。  あの頃と変わらず、わたし自身の運命の相手は映してくれないようだ。 「ぱぱはいつ来るのぉ~?」 「そうねぇ、お仕事が終わってからだから、明日には来てくれるんじゃないかしら?」  わたしたちのもとへ。  あの頃と変わらず、あの人は来てくれる。  水面に映る、あの頃と変わらない女性は幸せそうに笑っていた。
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