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「用意はいいか」
「ああ」
庄助はナオちゃんの言葉に頷いた。空を見上げると小雨が柔らかく世界を包んでしっとりとした空気が漂っていた。
「みんなちょっと来てくれ」
みんなを呼び集め、円になった。みんなの顔を確認してから、庄助はゆっくりと話始める。
「今日のために本当に頑張ってくれてありがとな」
「本当昔から人使い荒いよな、お前って」
「もう2度とお前に貸しなんか作んないからよ!」
そう文句を言いつつも、みんな表情は明るい。
「じゃあこれからが本番だ。今から行う『雨枯らし』は危険な儀式だ。雨宮の禁忌の儀式って言われている。下手したら死人が出る」
庄助は続けた。
「文字通り、雨を枯らす。思ってる以上に凄まじい雨風が襲ってくるだろう。参加者が危険な目に遭いそうになったら、無理はさせず避難頼む」
口々に「分かった」と決意を滲ませるみんなに庄助は頼もしさを感じた。
「じゃあ儀式成功させて、うちの店で祝勝会しよう!」
「おっしゃ!」
庄助達は右手を重ね、大きな掛け声を掛け合った。
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