雨枯らし

12/18
前へ
/18ページ
次へ
「ねぇ知ってる?今日神社で夏祭りやるんだって」 「夏祭り?」 倫太郎は彼女の夏希との電話で夏祭りの話を聞いた。 「せっかくだから行こうよ」 「そうは言ってもさぁ」 倫太郎は窓の外を眺める。思ったより小雨だったけど、正直行く気にはなれなかった。 「だって夏休みなのに全然夏休みっぽいことしてないじゃん!」 「でも雨だし」 「じゃあいい!悠人君と行くから」 悠人!?最近夏希に近づいてるって噂の? 「ちょっと待てよ!なんでアイツと行くんだよ」 「だって誘われたんだもん。私は行きたいし、倫太郎が行かないなら別にいいでしょ」 おいおい、いい訳ないだろ。そう思い必死に説得を試みるも、結局、夏希の意思は固いようで倫太郎は夏祭りに行くことした。 出かける準備ができ、一階に降りると親父とオフクロも出かける準備をしていた。 「どっか出かけるの?」 「ああ。神社で夏祭りがあってな。商店街の連中が参加しろってやかましくてな。お前は?」 「友達の所かな」 オフクロから「あんま遅くならないように」と念を押されてから俺は家を出る。 思ったより降ってない。でも面倒臭えなぁ。 そんなことをぶつぶつ文句を心の中で呟きつつ、倫太郎は傘を片手に雨の中、自転車を漕ぎ始めていった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加