雨枯らし

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倫太郎が神社に到着したのは午後6時を少し過ぎたあたりだった。 思っていたより、というか、かなり人で賑わっていて倫太郎は少し驚いた。境内に続く階段の脇には行燈が柔らかく灯っていて、祭囃子が境内から聴こえてくる。 それまで乗り気じゃなかった倫太郎も心が踊り出す。自転車を脇に置き、階段付近に向かうと浴衣姿を着た夏希をすぐ見つけた。 夏希は倫太郎に気づくと破顔して倫太郎の手を取った。初めて見る夏希の浴衣姿に胸が高鳴った。 照れを隠すように「行こっか」と手を繋ぎ階段を上がる。なんだ、夏祭り最高じゃねぇか。 境内に到着すると、多くの人で溢れていた。人々の背中越しから見える、立派な櫓。そこには褌姿で太鼓を叩く2人の男。 太鼓の太い振動が胸を打つように響く。 その音に導かれるように倫太郎は夏希の手を引きながら人混みを掻き分ける。 先頭に到着すると櫓の下で装束を着た3人が櫓の周りを回り、太鼓の音と合わせて白米を空に向かって投げている。 太鼓の音が次第に早く大きくなり、そして最後に1発ガツンと雨の空に鳴り響いた。
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