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その時、入口が開いた。その瞬間、大きな風の音が店内に響き、ナオちゃん始め、みんながギョッとして入口を振り返った。
そこには背広を着た男が3人立っていた。先頭に立つ男の背広は雨でぐっしょりと濡れていたが、背後に立つ男のさす傘のお陰で立派な白髪の髪は気持ちいいほど整えられていた。
そんなことをこの場で冷静に考えられたのは自分くらいだろうと庄助は思った。
案の定、ナオちゃん達はその男の顔を見て、目を丸くして絶句していた。
「お楽しみの所、すまない。雨宮庄助さん
だね」
「ええ。そうですが」
男達は店内に入りドアをピシャリと閉じると、雨風の音は再び小さくなる。
背後に立つ男達はずぶ濡れで足もとには水溜りができていた。
「君に頼みたいことがあるのだが」
「まぁ、立ち話もなんですからそちらにお座りください」
「それは失礼した。君達は車に戻ってなさい」
男達は指示に従い、外へと出て行き、店内にはその男だけが残った。
「カオル、そこどいてくれないか」
「へっ!?あ、ああ!」
慌てて机の上を片して席を外す。
空いたテーブルを布巾で拭き「汚いですが、どうぞ」と促すと男は手前の椅子に腰かけた。
「ご注文は?」
「君に日本を救って欲しい」
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