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目を開ける。
すると僕は、また声を上げてしまった。
暗闇だった。いや、チラチラと何かが光っている。
背中にはザラザラとした壁を感じる。どうやら仰向けに倒れているらしい。
しかも足元にザブザブと、水がかかる感触がある。
飛び起きると、彼方に薄靄にかかる朧げな白い丸が浮かんで、ゆらゆらと揺れる地表を照らしていた。ここは……海岸なのか。
自分の体を見れば、波打ち際に足を放り出し、全身びしょ濡れだった。
服も、普段着のジーンズと適当な半袖のシャツだ。
周囲を見渡すが、人影もない。
「どうしたの?」
不意に後ろから声をかけられた。
思わず振り向くと、それは君だった。僕は話しかけようとするが、驚きのあまりか声が出てこず、口だけがパクパクと動いていた。
「変な顔」
そういって、いつもの顔で笑っていた。
本当にいつもの表情をするものだから、僕は安心したのかなんなのか、つられて笑ってしまった。
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