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夏の日の朝だった。
薄明かり。ジットリとした熱が辺りに帯び始める。
ぼんやりとしながらうつ伏せに寝返る。背中をまだ幾分か涼しい風が流れる。
うとうとと、もうしばらくの眠りに戻っていく。
途端に、鳴り響く通知音。君からの音だ。
びくりとした体のまま、スマートフォンに手をかける。
「今日、海を見に行こう。いつものバス停に10時集合で。遅れるな」
文面はそれだけだった。
今日?
しかも、こんな時間に?
そんな疑問が過ぎったが、遅れるなと付け加えるのがいつもの君らしいといえばらしい。
君はいつも几帳面だ。
かくいう僕は、幾分だらしなく、堅苦しい格好も苦手なもので、制服のシャツは裾が出ているのがいつもの着こなしなのだが、それが視界に入るだけでしかめっ面をされる。
待ち合わせ時間に遅れるのはもってのほかで、必ず15分前には到着しているのが君だ。
そんな君が、こんな時間に連絡をしてくるなんて。
ありえないなと思いつつ、送信者を確認する。
しかしやはり、君からの連絡に間違いなかった。
疑問は尽きないが、休みの日に予定があるわけでもない僕は、「わかった」とだけ打ち返し、そのままもう少しだけ、眠りの世界へ戻っていった。
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