約束-2

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「おそいよ」 いつものバス停前。木材でできた雨風よけのあるベンチの前に、君は座っていた。 待ち合わせ一分前。間に合ってるんだから、僕にしては敢闘賞ものだよと、いうと、いつものしかめっ面。目は口ほどに、ならぬ、顔は言葉以上に、だ。 「まぁ、間に合っただけ良かったけどね」 そういって、君はやれやれといった表情に崩した。 あれ?っと思う。いつもなら、下手をすればバスの車中でも、果ては僕の普段の素行についてまで心配してくるものだが、今日はあっさりと引いた。 いささか説教を受ける覚悟をしていた僕は、間の抜けた顔をしていたのだろうか、君はその表情を更に崩して笑った。屈託のない笑顔だった。 間も無くやって来たバスの車中でも、君はまだ思い出したように吹き出していた。 そんなに変な顔をしていたのか…… でも変といえば、今日は初めから変なことばかりだ。 そもそもなんであんな朝に突然誘ったんだ? 思っていた疑問を投げかけると、君は空を見るような仕草をして、 「そんな日もあるんだよ」 とだけ答えて、あとは窓の景色を眺めはじめた。 らしくないな、と言いそうだったが、飲み込んだ。 窓ガラスに映る君の横顔が、とても嬉しそうだったから。
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