0人が本棚に入れています
本棚に追加
朝早くに起こされたせいか、僕はウトウトと眠っていたようで、肩を揺すられていた。
すまん、着いた?慌てて目が醒める。
が、そこはバスの中でなく、学校の教室だった。
自分の席に自分が座っている。
どこに着いたんだ?と、傍にいる教師が聞いてきていた。
先ほどまで海で遊ぶ気だった僕は、突然真面目な空間に放り込まれていた。
あっいやっ…としか答えられず、続けて消え入るようにか細い声で謝るしかなかった。
周りからはクスクスと笑われ、教師が教卓に戻る間際、僕は君の席の方をみた。
いつもの呆れ顔がそこにあった。
安心したのもつかの間、僕の頭はこんがらがったままだった。
授業終了のチャイムが鳴り、昼休み。
手につかなかった教科書とノートを閉じてしまっていると、早々に君が側に来ていた。
見てるこっちが恥ずかしいくらいだったと、呆れを超えて哀れみに近い感想を述べられたが、僕はじっと君の顔を見ていた。
流石に何も言わない様子を訝しんだのか、本当に具合悪い?と心配して来たので、慌てて否定する。
「ならいいんだけどさ。そうだ、そんなことより、夏休みの予定」
僕の逡巡はそんなことの一言で片付けられた。
「受験生って言っても、1日くらいは遊びに行こうよ」
最初のコメントを投稿しよう!