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あの日以来、よく一緒に帰るようになっていた僕らは、この日もいつも通り共に下校する。
再び、夏休みの休息日に何をするか話をしながら、しかし借りた傘は僕には少し小さいのか、肩やズボンの裾を濡らしているのが気がかりだった。
おまけに、差して見たら花柄という、僕には少し気恥ずかしいものだった。
なぁ、これ……と、借りた手前ながら君に少し不満を漏らそうと思ったのだが、
「いい傘でしょ?お気に入りなんだ」
と、本当に大事にしている、という顔で答えた。
あぁ、綺麗な柄だよな、とだけ返しつつ、改めて見るその手の傘は、やはりどこかで見た気がした。
そんなことを考えていたら、唐突に、後ろから車のクラクションを鳴らされた。
狭い道の車道側にいた僕は思わず君の側に避けるが、瞬間、水たまりを踏んだであろう車からの盛大な水しぶきが僕を襲う。
僕は思わず、目を瞑った。
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