第3章

3/8
前へ
/16ページ
次へ
「あなたから殴ったわけではないわよね?」 「あぁ。先生以外は誰も信じてくれなかったけどな」 桐生院の話によると、その先輩がわざとぶつかってきて、因縁をつけてきたという。髪やら服装やらが生意気だと言われながら、時が過ぎるのを待っていたらその態度も気に食わなかったらしい。 「1人が殴りかかってきた。それを避けたら、そのままその男子は転倒し、それを見て次々に襲い掛かってきたという。だから、ビビらせるために、1発ずつ殴ったら大騒ぎになった」 桐生院もよくわからない間に、停学処分になったという。完全に桐生院のせいではないことも明白だったから、その4人は桐生院よりも長い停学期間となった。それで逆に生徒たちは「4人は大けがを負わせられて入院している」と勘違いしたらしい。 「もうすぐ、アイツらの停学期間も終わるから、何も起きないといいけどな」 そう言いながら、桐生院は真剣な顔で私を見た。 「なんかあったら言えよ」 桐生院の顔に少しドキッとしたが、それを隠すように私はヘラッと笑った。 「わかったよ。もしもの時は、葉鳥さんに守ってもらうから」 「なんで、葉鳥なんだよ!」 ちょっと不機嫌そうな顔になった桐生院はすねたような顔をする。その隣を歩きながら、私たちは帰路にたった。 後ろを誰かにつけられているとも知らずに…。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加