第3章

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次の週の放課後、放課後の恒例となり始めたチラシ配りに行くため、私はバックを肩に下げる。桐生院とは彼のクラスの前で待ち合わせだ。 「今日も行くの?熱心だね」 「だって、まだ、半分しか飼い主が見つかってないし」 この2週間でやっと半分の数の飼い主が見つかった。まだ先は長いが成果が出てきている。 「大変」 「でも、桐生院くんと一緒なんてずるい」 友達たちの励まし・妬みをもらいながら、後輩のクラスに向かおうとすると、スマホがなり響いた。 「もしもし、あ、飼い主募集を見てくれて…ありがとうございます。では行きますね」 「何?さっそく、飼い主が見つかった?」 スマホを切った私に、美紀は嬉しそうに話しかけた。 「うん。話が聞きたいから、元美術部の部室に来てほしいって」 「元美術部の部室?」 詩織は首をかしげる。2年前に廃部になった美術の部室はよく吹奏楽部のパート練習のときに使うことがあるらしいが、基本は使われていない。今日は雨も降っているし、桐生院の帰りに同行しないと、また動物を拾って帰りそうで不安だ、 「ちょっと行ってくる。もしも、桐生院がこっち来たら伝えといて」 「わかった。いってら~」 友達たちに見送られながら、私は部室に向かった。
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