第3章

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桐生院はなかなか来ない梓にイライラしていた。いつもは迎えに来ている時間に彼女は来ていなかった。 「あいつはどうしたんだ」 ここで待っていても仕方がないと思い、彼女のクラスに向かった。2週間ずっと一緒にいるのに、互いに連絡先を知らないのだ。 (次会ったら、連絡先を聞く) 彼女のクラスの前に来たら、入口から何人か女子が出てきた。 「あっ!桐生院くんだ!」 そのうちの1人が俺に気づいて、声をあげる。 「本当だ。梓を探しに来たの?」 「は、はい」 3人の女子に囲まれて、少したじろぐ。梓以外の女子はまだ苦手意識がある。 「なんか、飼い主になりたい生徒から連絡があったらしくて、元美術部の部室に行ったよ」 「でも、なんか怪しい」 「だよね。直接、会いにくればいいのに、呼び出すとかさ」 桐生院そっちのけで3人は話始める。 「しかも、違うクラスの『なんちゃって不良グループのたまり場』でもあるからね」 「梓だから大丈夫だと思うけど、桐生院くん!?」 俺は何も考えずに駆け出した。
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