第3章

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私は今桐生院の言葉が理解できないほど、混乱していた。なんとなく部室にいるのは例の4人だと直感があったので対策もとってきたはずだった。その処理が終わった直後に、彼は心配して迎えにきてくれた。 すごくうれしくて、それを隠すようにいつもの笑顔を作って彼に駆け寄った。本当は少し怖かったなと思いながら、夢中で話していると、彼は突然笑い出した。なぜか抱きしめられた。体の温度が上がっていくのが分かる。 本当に心配をかけてしまったのだと思い、謝ってもクスクス笑うだけで離してくれない。 彼に心臓の音が聞こえませんように祈っていたら、彼の告白だ。頭の中は大混乱状態に陥った。 ゆっくり、彼は私を離し、顔を見つめるとにこっと笑った。 「返事は飼い主が全匹見つかったときまでだから。よろしく!」 いつも、私が彼をひっかきまわしていたのに、彼は仕返しのごとく今度は私の頭をひっかきまわす。 「ちょ、ちょっと!」 私はその他4人のことを忘れ、走る彼を追いかけた。 いつの間にか、雨はやんで空には虹がかかっていた。
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