第1章 

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なんと私の友達たち全員が、捨て犬猫を拾っている桐生院を見たという。 「なんか、キャップ萌えだよね!」 「ああいう姿を見ちゃうと、あんなに怖そうなのに意外と優しいんだってね」 「うん。同感」 友達が桐生院の話でキャッキャと盛り上がっているときに、私は素朴な疑問を考えていた。 「でも、みんな日時はバラバラで目撃しているっていうことはさ。桐生院って一体何匹動物拾っているの?」 今の話だけでも、最低でも3匹は拾っていることになる。 「そういえば、そうだね」 「細かいところはよくない?…よく見ると、桐生院くんってイケメンだし。危ないオーラがそれを引き立てている!」 恋する乙女と化した詩織は目からハートが溢れてくるんじゃないかという勢いで話す。 でも、1度気になったら、体からあふれる好奇心が止まらない。 「よし!今回は記事が決まったわ。題は問題児・桐生院翔の裏の顔に迫る。徹底的に調べ上げて見せる!」 「…あ、火がついちゃったよ」 「詩織のせいじゃないよー」 「静観」 私は気になりだしたらとことん調べないと気がすまない性格なのだ。 それを知る友達たちは呆れた顔で私を見ているのはいつものことなのだ。 「待っていてよ!桐生院翔!」 拳を強く握って、私は目をギラギラさせて桐生院が歩いていった方を見た。 まず、私は聞き込み調査を行った。ヤンキーと同学年、もしくは私と同学年の女子に聞き込みを行った結果、雨の日は毎回2~3匹の犬猫を拾っていることが発覚した。梅雨の時期もあり、雨の日が多いのもあるが、それだけでも40匹以上は拾っていると推察される。 「一体、こんなに犬猫を拾ってどうするの?」 ますます謎は深まるばかりで、桐生院の噂も、「100人の不良を半殺しにした」とか「中学時代に番長やっていた」とかありがちなものしかなく、彼自身の性格や家庭のことは何1つ出てこなかった。1つわかったことは彼の隠れファンクラブは最近結成されたことぐらいだ。ギャップ萌え効果か、彼は結構モテるようだ。 「仕方がない。これは雨の日にあれをやるしかないな」 私は次の雨の日に尾行作戦を開始したのだ。
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