第2章

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「そんなに見ている人がいたか」 怖くて俯いて話していたが、反応が気になって、顔を上げたら驚いた。桐生院の顔が真っ赤に染まっていた。 「…どうしたの?」 「すげー、恥ずかしい。…男が子犬を可愛がるとか」 桐生院は両手で顔を覆い、膝をついた。 乙女かとツッコミを入れたくなる反応に、私は心の中で思った。 (なんだ、この可愛い生き物。これが問題児と言われている桐生院翔?) いつもだったら、シャッターチャンスとか言ってスマホを構えるが、毒気を抜かれてしまった。 「動物好きは男にも多いから問題ないよ」 「そうですよ!動物にもお優しい翔さまだからこそなんですから。少し問題もありますが…。梓さま、翔さまご保護した子犬、子猫たちご覧になりますか」 「ぜひ」 「翔さま、梓さまがワンちゃん、ネコちゃん見たいとおっしゃっていますよ!さぁ、お立ちになって」 まだ、顔を上げない桐生院を羽柴は慣れた要領で慰めている。これはいつものことなのだろう。 (もしかして、そんなに怖い人ではない?みんな誤解している?) 頭の中に疑問だらけになり、考えこんでいると、いつの間にか、ヘタれていた桐生院が立ち直っていた。 「わかった。こっちだ」 立ち上がり、私を動物たちのもとへ案内してくれるらしい。 「ねぇねぇ、なんでいつもそんなに怖い顔しているの」 案内されている間に、自分の頭の中の疑問を解決しようと桐生院に話しかける。 「これが普通の顔だ」 「髪染めているの?」 「これは地毛だ。父親がイギリス人なんだ」 「なんでヤンキーっぽい感じに、いつも制服着崩している?」 「質問多いな!中学のとき、イギリスの学校行っていたから、こっちの漫画や本で勉強して…ヤンキーっぽい?」 「うん。似合っているけど怖い」 桐生院は立ち止まって、ブツブツとつぶやき始めた。 「なぜ、そうなった。参考になるものを葉鳥に集めさせたはず…」 「翔さまの言いつけ通り、高校時代に読んで憧れたごぐせんやろくでなしREDなどの私のベストセクションをお渡しましたよ」 私たちのあとをついてきていた葉鳥は胸を張って言った。 「それって、全部不良系の学園コメディ」 「葉鳥!」 葉鳥はきょとんとして、私たちを見た。桐生院が何を求めていたのか全く理解していなかったようだ。
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