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「もしかして、葉鳥さんの言っていた問題というのは…」
「この子たちです。…こんなに、拾ってきてしまって、2~3匹ならまだいいのです。しかし、これぐらいの数になると、健康状態も気になりますし」
溜息をつきながら、お茶を入れてくれる。
これだけ拾ってきてしまうと、世話をするのも大変だというのは一目でわかる。子犬、子猫もいるのだ。しつけをするのも一苦労だろう。
「とりあえず、保護施設に相談するとして、飼い主探しをしないとダメですよね」
「はい。保護施設には連絡しているのですが、私どもできることはしたいと思っておりまして」
「なるほど」
「翔さまは友達もいらっしゃいませんし、相談する方もいないでしょう」
「悪かったな。友達がいなくて」
やっと子犬から解放されたのか、私の向かい側の席に座る。
「別にいいだろう。ここで世話すれば」
「翔さま、こんなにたくさんは私達の手に余ります。プロ雇ってしつけを行うのであれば、誰かかわいがってくれる人にお譲りしたほうがいいと思うのです。翔さまもずっと家にいるわけではないのですから」
「そうだけど…」
葉鳥の言葉に納得はしつつも、まだ心の中では抵抗をしているようだ。
「仕方ない。私も手伝うよ」
「はっ?」
「誠でございますか、梓さま」
葉鳥は目を輝かして、私を見る。
「何かの縁だし。新聞部だから、いろいろ伝手もあるんだよ。桐生院にも手伝ってもらうよ」
「俺も?」
戸惑いながら、桐生院も驚いた顔で私を見ていた。
「そうだよ。まずはチラシ作成をよろしく。私は今度発行する新聞の記事にこのことを書くのと、この子たちの写真撮影」
私は足にすり寄ってきた猫を抱きあげる。
「よし、行ってみよう」
「にゃあ!」
「わかったよ。やってやるよ」
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