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「……たしかにやるみたいだな」
隙のない構え。
足や腕に怪我がなければ相手してやっても良かったが今はダメだ。
俺は奴を……モルフを……あの卑劣な貴族を殺さなければならない。
「レオ殿。参ります」
エリックは大胆にも距離をいっきに詰めると剣を振るう。俺は愛剣で受け止めいなすと距離を取った。
エリックが持つのはシュベルツ騎士団の剣だ。打ち合わせてみてわかったがあの剣は魔剣でもなければ何かの仕掛けがあるわけでもない。ゆえに最初の攻撃は剣によるものではない。
ゆらりとエリックが次の攻撃を仕掛けるために身体を落とす。
「視えたっ!」
「!?」
剣での斬撃に合わせてその攻撃はやってきた。斬撃を躱してその攻撃を剣で弾く。
「水魔法……エミルート教の加護か」
「ご名答。やはり、レオ殿は勇者候補に恥じないお方ですね」
エリックの攻撃は魔法だ。トリックは簡単で水を矢のように飛ばしてきたただそれだけだ。
しかし……。
「ただの水の矢であの威力に速度。さすがに強いな」
エリックが用いているのは水の攻撃魔法ハイドロアローだ。水魔法の素養のあるものがきちんとした教育機関で魔法を学んでいれば誰しも扱うことができる初級の魔法だ。
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