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そんな彼らと人間が互角に戦争できているのは全ては魔法……神からの恩寵によるものだ。人間には獣人のような屈強な身体能力はないが、屈強な獣人をも殺せる魔法を扱うことができるのだ。
まぁ、魔法の話は置いておいて、少なくとものんびり歩くくらいは今の俺でも可能だ。
「で、どこに行くんだ」
怪我人の俺…いや、捕虜か。捕虜を連れて行くということなら魔王軍だろうか。
まだシュベルツ王国への魔王軍の侵攻は始まっていない。ゆえにこの付近にいるとしても偵察部隊くらいなものだが…
「行く場所は決めてるわ。ここから東、ハイレルトよ」
「ハイレルトか……」
ほんの数か月前までは平和だった人間族の都市。俺の生まれた国。魔王軍によって陥落し、今はもう魔王領となっているはずだ。そこに魔王軍の駐屯地でもあるのだろうか。
「ああ、わかった」
複雑な想いを胸に伏せると旅立つ彼女の後ろについていった。
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