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「馬鹿か、さっきも言ったろ。ここは生き残るべきところだ。魔王軍は強いこのまま俺たちが負けたら一体誰がこの街を再建するんだ?」
デモンの言葉を噛み締める。配下たちにとってアセイム宿場街は生まれ故郷である。ここで生まれ、育ち、そして、故郷を守るためにシュベルツ王国騎士団の非正規騎士へ志願したのだ。
そのため、人一倍このアセイム宿場街の防衛に身をやつしている。それはデモンも同じである。デモンにとってアセイム宿場街は生まれ故郷ではないが駐屯騎士として長年勤めるうちに第2の故郷と言っても差し支えの無いほどの愛着を持っていた。
一度は逃げようと考えた。今でも魔王軍によって作られた惨劇を見て、ブルブルと逃げ出してしまいたい感情に襲われている。
しかしデモンは逃げない。逃げずに生き残る道を模索し、その解答が南へ撤退するという判断であった。
「了解しました。生きている者をできる限り集めます」
「よろしく頼む」
デモンたちが持ち場として与えられた場所には生き残りは少ない。集めても2個兵団にもならないであろう。
だが、それだけの兵力があれば避難している住民を護衛し、逃げ延びることは十分であろう。
デモンは生き残るための指示を配下たちへ飛ばした。
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