第20話 アセイム宿場街撤退戦 下

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■□ 神暦1342年 馬月25日 セントブルム街道・アセイム宿場街・中央 □■  テオニードによる決闘の勝利は魔王軍側の戦意を向上させるには充分な働きをしていた。連戦と兵力差によって疲弊した戦士たちもその勝利の報せに舞い上がる。  ケガで倒れていた者は再び立ち上がり、戦意喪失してしまいそうだった者も雄たけびをあげながら獣らしく(、、、、)戦地へと向かった。  このアセイム宿場街での戦いは魔王軍側の勝利で間違いなかった。  虎の子である小鬼(ゴブリン)軍を保持したまま1万からなる人間軍を敗走させているのだ。それも大将首というおまけつきで。  テオニード獣軍側の損壊も出ているが隊長クラスの戦死報告はサナルの下には届いていなかった。つまり、圧勝と呼んでも差し支えの無い勝利である。  それなのにテオニード獣軍の参謀であるサナルの顔は険しい。とある場所からの報告が来るごとに険しい顔はさらに険しくなり、ついには報告にきたものですら(おのの)いてしまうほどの形相(ぎょうそう)であった。     
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