序章:コトの発端は…

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 魔王軍の先鋒隊。ハイレルト王国が完全に陥落して1週間、どうやら魔王軍は強行突破を図ろうとしているのだろう。 「もう来たのか、俺も出るで良いな」 「勿論でございます。レオ殿には兵団を率いて栄えある遊撃任務を行ってもらいます」 「遊撃っ!? モルフ騎士団長。ここには城壁があり砦の向こう側は深い森となっている。それでは死ねと言っているようなものでは」 「問題ありませんレオ殿、あなたの兵団にはこの土地に詳しい者や森に慣れた者もおります。敵は先鋒ですが数は50ほどと報告を受けております。遊撃で敵を減らせれば本隊の到着を遅らせることができます」 「し、しかし……」 「これは聖騎士団の意向ですぞ」  聖騎士団の意向……つまりは”勇者”ディルク・ウォルソンの意向ということだ。ああ、そうか。そう俺は納得した。奴らはやっぱり俺を信用していないのだ。 「ああ、わかったよ。やれば良いんだろやれば。やって俺の力を証明すれば良いのだろう」  半ばヤケクソ気味に俺はモルフ騎士団長をあしらった。卑怯者のディルクが俺を信用していないとなれば、俺は俺の力を誇示すれば良いだけだ。  そう思いながらも俺は外へと出向いた。
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