第2話 獣耳戦士と元勇者候補

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第2話 獣耳戦士と元勇者候補

 ハイレルト王国。  このベルベット大陸でも最も東側に位置する人間族の国。国土は小さく、そのほとんどが農業地域や森で占められる。北と南にはそれぞれ海と面しているが交易はあまり盛んではなく特産品はハイレルト王国の東側に位置する山岳地帯で採取される動植物くらいだ。  ハイレルト王国より東側にはエルフや獣人を始めとする獣人たちの国々があり、そのさらに東には魔王領がある。  魔王軍との戦争が始まって約8年。人間と魔王軍との戦争の最前線としては約6年。ハイレルト王国は戦い続けた。度重なる大攻勢に国は疲弊(ひへい)し、俺のような若く身分の低い者でも戦場で功績を挙げれば高い報酬が得られた。  しかし、魔王軍の侵攻によってハイレルト王国の王都ハイレルトは陥落(かんらく)した。  王都の陥落により、ハイレルト王国各地の前線は総崩れとなり、実質ハイレルト王国は滅亡した。  そう、魔王軍の手によってハイレルトは滅亡したのだ。 ■□ 神暦1342年 馬月6日 セントブルム街道 □■  シュベルツ王国の国境より東側、セントブルムの森に挟まれた石造りの街道を俺と獣人の彼女とで東進する。     
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