第3話 テオニード獣軍へようこそ

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第3話 テオニード獣軍へようこそ

 ベルベット大陸の西の端。広大な西海と面したアレスタル王国は人々から聖教王国と呼ばれていた。豊かな平原や川、海を持ち、精強な兵士たちによって守られたこの王国はベルベット大陸一の国家であると言っても過言ではない。  そんなこの王国が聖教王国と呼ばれる所以(ゆえん)は王国の主である国王の選定方法にある。アレスタル王国はもともと、アレスタル教と呼ばれる大陸で最も人間に信仰されている宗教から生まれており。その国王はアレスタル教聖教会の最大神官である聖教王により任命される。  そのため、アレスタル王国では国王より聖教王……つまりはアレスタル教聖教会の方が権力が強いのだ。 ■□ 神暦1342年 馬月8日 アレスタル王国王都・大神殿 □■  アレスタル王国の王都にはアレスタル教の総本山である大神殿があった。数年前に建て替えられたばかりの大神殿は豪奢でかつ荘厳でいて、そこで働くものたちも身なりが整った者たちばかりだ。  大神殿の中心には信者に開放された巨大な礼拝室があり、その奥にはアレスタル王国ひいては人間族の中枢とも呼ぶべき部屋があった。     
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