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「帰ってくるの久しぶりだな…」
バスの窓から見える景色はいつだって変わらない。
都会から電車で1時間。
さらに、そこからバスにゆられて30分ほど。
田舎…と言うべきか、都会と田舎の丁度真ん中の
ような町。
大学生になると同時に、地元を出て社会人となった私、神崎 ユキは6年ぶりにこの街に帰ってきた。
停留所にバスが止まり、そこで降りる。
思い出の停留所。
“彼”と初めて出会った場所。
丁度、今日のような雨の日だったっけ。
「今日は傘持ってきてるんだけど…っと。」
私は両肩掛けのリュックサックから
あらかじめ用意していた折りたたみの傘を
取り出す。
バサッ!という音とともに
水色に花模様のお気に入りの傘を開く。
「さーて、ちょっとだけ歩きますか。」
私は1人、歩き出す。
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