1: 後輩のつがい

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 『神上明久』は、雄性アルファを体現したような男だ。  本当にこの間まで中学生だったのか? というくらい完成された肉体に、端正なマスク。仏国の血が入ってるそうで、暇を見つけては上半身の服を脱がせ観察したり、時には絵のモデルにしたりするが、純日本人とは筋肉のつきかたや顔形の違いを感じる。入寮の日に、これからよろしくお願いします。と挨拶されたときは、その姿に呆気にとられたものだった。  今だって座っているだけなのに、本当にサマになる。素晴らしい被写体を横目で盗み見ながら、デッサンしたい欲をなんとか飲み込む。  佐野は神上の二学年上で高三だ。神上と同室になってから、話したこともない同級生から声をかけられることが多くなった。その内容は神上のプライベートの様子を探るものだったり、連絡先を教えてほしいなど様々だったが、いずれも熱っぽい様子で、どうにかして神上と接点を持ちたいとの行動だとわかった。初見で佐野が神上に対してもった感想は、万人共通のようだった。けれど佐野は適当にあしらっていた。人づてに聞くのは、違うだろうと思ったからだ。     
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